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アーク通信

  1. いつから中学入試対策を始めるべきなのか【後編】(難関校をはじめとする一般入試編)

いつから中学入試対策を始めるべきなのか【後編】(難関校をはじめとする一般入試編)

2022.10.22

《一般入試》

 前回お話しした推薦型選抜に対して一般入試での合格を目指す場合、特に難関校と言われる上位校を目指す場合には、正直に申し上げて「始めるには早ければ早い方がよい」と言わざるを得ません。私自身小学3年生の夏休みには某集合塾の夏期講習会には参加していましたし、そこで与えられる知識の膨大さに感動したことを今でも何となく覚えています。今や中学入試で求められる学力は公立小学校の学習内容を軽く超え、公立中学の内容すら超えて一般的な高校の学習内容にさえ及ぼうとしています。

 理科や社会などの暗記分野は広範囲で、覚えなくてはならない量は想像を絶するため、早く始めた方が有利であることは言うまでもありません。もちろんそれらの知識を使ってデータや図表を読み解く能力や計算力も付けていかなければなりません。

 算数はそもそも小学校の学習内容では解けない問題を、普通では思いつかないような方法でうまく工夫して解いてしまう、画期的な「特殊算」という魔法のような解法が20種類以上あり、それら全てをマスターしていることが前提条件になってきます。どの問題をどの特殊算で解くのかを判断するには経験則以外にありません。10題20題では太刀打ちすらできず、100題200題という問題演習が必要でしょう。

 国語は普通の小学生が聞いたこともないような語句が出てくるのは日常茶飯事で、通常の小学生なら読み切ることさえ難しい芥川龍之介の「トロッコ」をそのままぶつけてくるような中学校さえあります。多くの作品に触れて、漢字や語句の知識をたくさん身に付けていくには多くの時間が必要でしょう。

 このように凄まじい情報量の暗記と解法テクニックの習得を必須とする一般入試ですが、その入試を突破するうえで何よりも大切なことは、お子様がそれらの勉強を楽しいと感じられるかどうかということです。

 全ての教科、全ての単元について楽しいと感じる必要はないかもしれませんが、少なくとも知識を吸収したいという欲求がなければ、普通の子であれば耐えられないほどの苦痛でしょう。どれだけ塾で授業を受けたとしても、どれだけ勉強時間を確保したとしても、どれだけ教育費を使ったとしても、ただただ苦痛なだけになってしまいます。

 それを見極めるためには、まずはお子様が勉強に対して何らかの興味を持っているかどうかを判断材料にしていただくのが良いかと思います。例えば、本を読むのが好きで、小学生には難しそうな本を勧めても楽しんで読んでいる、天体観測やプラネタリウムが好きで星や星座の名前を憶えている、教育系の動画やクイズ番組の知識を○○なんだってと伝えてくる、などの行動が挙げられます。このような行動を伴い、地頭のあるお子様であれば、勉強を楽しむことができるでしょう。

 勉強に対して全く興味のないお子様であっても上位の学校に合格する方法がないわけではありません。
それは、勉強以外に何もない環境を作ってしまうことです。これは全くお勧めしない事ですが、勉強しかできないようにしてしまうのです。学校から帰って、机に向かい必死に塾の宿題に取り組む、仕上がるか仕上がらないか毎回ギリギリで追い詰められながら塾に向かう、塾で晩御飯のお弁当を食べて22時23時まで塾の授業を受ける、帰ってきてお風呂に入れば明日の塾の宿題をしなければならない、くたくたになって学校に行く、学校が終わればまた塾が待っている…という具合です。もちろん土曜日も日曜日も塾です。こんな環境下にいれば、全く勉強に興味がない子どもでも勉強の中に何か面白味を感じていつの日か花開く可能性も全くないわけではありません。
 しかし、お気づきかとは思いますが実際にこのようなことをしようと思うと、とんでもないお金と労力が必要なことは自明です。中学受験専門の名門塾の費用、子どもを徹底的に管理する親御さんの労力、そして何より全く興味のないことを延々とさせられる子供のストレス…。

 それでもなお、我が子のためを思ってそのような環境に子供を置く親御さんが多数おられることも勿論存じ上げておりますし、今回のコラムはその点について良いか悪いかの意見を述べる場でもありません。
 ただ、勉強に興味があったり、将来の夢に向かって勉強しようと思っていたりするお子様でさえ途方もない時間と費用と努力が必要なのに、勉強に興味のないお子様が上位校の合格を勝ち取るには、さらに恐ろしいほどの3要素が必要なことはお伝えできたでしょう。

 さて、今回のテーマである「いつから中学入試対策を始めるべきなのか」について、結論を簡単にまとめ直しておきます。

 入試対策のポイントは大きく分けて2つありました。
1つ目のポイントは志望校の入試方式を確認して、合格するためのルートを見定めること。
2つ目のポイントは推薦型と一般の入試方式によって変わるということ。

 この2点を踏まえた上で、推薦型の場合はその入試要項に書かれている「成績を参照する期間(多くの場合は5年生以降の成績)」で良い成績を取ることができるような時期に始めるべきだということであり、一般入試型の場合は可能な限り早くからの対策開始を推奨するということです。

 いかがだったでしょうか。中学受験を検討しておられる方の参考に、ほんの少しでもなっていたなら幸いです。

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                                        (文責 本庄)

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