中学受験には大きく分けて2種類の方法があります。
一つは学校の成績や小学校での活動内容、英検漢検などの資格、模擬試験の結果などをもとに、志望理由や意欲などをアピールして合格を目指す推薦型であり、もう一つは学力での入学試験突破を目指す一般入試型です。近年は入試の多様化により、それらを組み合わせた総合型の選抜方法を用意している学校もあります。ただし、まだまだいわゆる高偏差値帯に分布している学校では多くの生徒を一般入試型で選抜しているという事実があるということもお伝えしておくべきでしょう。
さて、今回のテーマである「いつから中学入試対策を始めるべきなのか」については、どのような方法で合格を勝ち取るのかによってかなりの差異が生まれてくると考えています。
まずはそのうちの推薦型選抜についてお話しします。
《推薦型入試》
その一例として挙げると、偏差値帯が中位程度のとある中学校の推薦型入試の要項には「小学5年生及び6年生前期の成績が良好であること」と記載されています。つまり、「小学5年生以降の成績が合否を分けます」と言っているのと同じことです。ということは少なくとも小学5年生の初め、可能であれば小学4年生の終わりから対策を始めるのが望ましいでしょう。
ただし、推薦型入試での合格を目指していて、その子の学校の成績が非常に良い場合は、敢えて塾に通う必要はありません。そのままの成績を維持できれば特に問題なく入試を突破できるはずです。強いて言えば、成績以外の武器を手に入れるために資格を取ってみたり、課外活動を頑張ってみたり、もしくは書店などで申し込める五ツ木進々堂模試や、大手塾の公開テストを受けて実力を測ってみるたりするのもよいでしょう。また、合格したい学校の説明会に早期に参加して、その学校が求めている学力を把握することも、とても重要です。例えば個別相談会で直接、どれぐらいの学力が必要なのか聞いてみることで、案外具体的な内容を伝えてもらえるかもしれません。
端的に言えば、推薦型入試での合格を目指すのであれば、何も大手の中学受験専門塾で小学校低学年のころから週末も返上して毎日何時間も缶詰め状態で授業を受け、勉強にだけ時間を割くような必要は全くないということです。
もちろん本人がそれを望めば、中学入試対策で手に入れた知識や経験は今後の人生でも大いに役立つので、ぜひとも体験していただきたいとは思います。しかし、本人が望まないのであれば、ピアノや習字など塾以外の習い事やダンスやスポーツなど本人の興味のある分野に力を入れる方が、ずっとその子の将来的な人格形成に有用であると考えます。