中学校・高校で勉強をしないということは、人生の中で最も頭脳の発達する時期においてそのトレーニングを放棄するということです。部活動に喩えてみると、体力や技術が一番伸びる時期にサッカーやバスケ、野球、あるいは文化部の吹奏楽や美術などの練習をしないということです。いくら好きなことでもトレーニングをしなければ上手くなることはできません。何度も何度も基礎練習を繰り返すことによって技術は上達していきます。つまり繰り返すことによって身体が覚えていくのです。そしてできなかったことができるようになると楽しくなって更に上達しようと努力するようになります。
ただここで一つ見逃してはならない重要な点があります。反復練習によって身体が覚えることは間違いがないのですが、何故その練習をするのかと常に考えながら行うことが大切だということです。
勉強についても同じことが言えます。常に考えながら基礎をしっかり身に付けるまで繰り返すと、分からなかったものが理解できるようになり、できなかったことができるようになります。そうすると思考力がワンランクアップします。その積み重ねによって頭脳が発達し、結果として学力が向上していくのです。
ですから、部活と同じような感覚で勉強をしていけばいいのです。
ところが、根本的な問題がひとつあります。部活は楽しそうだからまず始めてみるが、勉強は楽しくないから始める気が起こらないということです。
では何故子供たちが勉強は楽しくないと考えるのでしょうか?
物心がつき始めた頃の子供はどんなことに対してでも興味を持って知りたがります。「なんで?」「どうして?」の質問は多く、字を書き始める頃には新しいひらがなや漢字を得意になって覚えていきます。ところが小学校で勉強するようになると、学年が上がるに従って多くの子供がだんだん机上の学習に興味を持たなくなってしまうのです。
ということは結局、学校の教育方法に問題があるのかもしれません。
しかしながら、現場の先生の多くは文科省の指導要領に沿って懸命に子供たちの学力向上に努力しておられるはずです。
では、指導要領に問題があるということになるのでしょうか?
続く。